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2008-01-05 (Sat)


「ア・ソング・フォー・ユー」  柴田よしき  実業之日本社  1/5読了


『新宿二丁目の無認可保育園「にこにこ園」を切り盛りする園長で、私立探偵のハナちゃんこと、花咲慎一郎のもとには、いつも一筋縄ではゆかないさまざまな事件が舞い込む。呪いの藁人形をもった高校生、ビルとビルの隙間に捨てられた赤ん坊、逃げたインコを取り戻したいOL、納骨前に消えた骨壷など、謎めいていて、とうてい金になりそうにない厄介な案件が、あれこれと持ち込まれる度、ハナちゃんはひたむきに解決へ向け、走り回る。解きほぐされてくる真実の底に、哀しい人間の生きざまが透けてみえてくるごとに、心優しい探偵は、悩み苦しむ。ときに震え、ときに嗚咽し、ときにむかつくハナちゃんの信念とは…子供の幸せを願ってやまない園長探偵が奮闘する中編4本立て連作ミステリーの傑作。』

花咲慎一郎シリーズの4作目。

花咲は元刑事の私立探偵、にこにこ園という保育園の園長でもある。
刑事を辞めたのは、同僚を射殺してしまったから。
彼の心からは自分が人殺しだという気持ちを消すことはできない。
にこにこ園は
夜子どもを預ける場所のない母親達にとってなくてはならないものだが、
常に赤字経営である。
その赤字を埋めるために探偵をしている。

ハリウッド・セレブとなった丸山恵美子から依頼された人探しを書いた「ブルーライト・ヨコハマ」、
いなくなったオカメインコを探す「アカシアの雨」、
靴磨きのおじいさんに怪我をさせた少女を見つける「プレイバックpart3」、
なくなった骨壷を探す「骨まで愛して」。

探偵なのだから探し物ばかりなのは当然だが、
その間にいろいろな人々と関わり、事件に巻き込まれてしまう。

にこにこ園の子ども達のために働いているはずなのに、
どんどんヤクザな世界に近づいてしまっているようで、
読んでいて心配になってくる。

まだシリーズは続くが、最後はハッピーエンドであってほしい。

| 柴田よしき | COM(0) | | TB(0) | |
2007-12-19 (Wed)


「朝顔はまだ咲かない」  柴田よしき  東京創元社  12/19読了


主人公のなっちゃん、こと小夏は高校時代に登校拒否になり、
そのまま引きこもりになってしまった女の子。
そしてその頃からなっちゃんの家に遊びに来るようになった秋。
二人が出会うミステリー(?謎解き?)の数々・・・。

ひきこもりだから感じとれること、女の子だから気づくこと・・・。
外には出られないけれど、秋を通して社会と繋がり、
男の子とも出会い恋をする。

読みながら歯がゆい想いをしながら、
それでもなっちゃんを応援したくなる。

乗り越えた先に見える未来。
まだまだ先は長い・・・。

加納朋子の作品を思い出すような作風だった。
そして読み終わった後に気づいた最後の紹介本が、
なんと加納朋子の「ななつのこ」等だった。

| 柴田よしき | COM(0) | | TB(0) | |
2007-12-08 (Sat)


「やってられない月曜日」  柴田よしき  新潮社  12/8読了


大手出版社の経理部に勤める高遠寧々、
親友の百舌鳥弥々と共にコネ入社を引け目に感じている三十歳間近のOLである。

彼女の趣味は、1/150スケールのNゲージ用の建物を作ること。
ちょっぴりオタクな彼女の日常が描かれている。

会社や通勤途中で出会った人達・・・。
そして彼女が作り始めた会社全体の模型・・・。
すべてが興味深く、読んでいて楽しい。

「ただの偶然なんだよね、すべて。・・・・・・だけど、その偶然がたくさん重なって、俺たち、知り合ったり、喧嘩したり、飲みに行ったり・・・好きになったり、憎んだり、するわけだ。もし何か、ほんの些細なことが違っていたら、決して出逢うことはなかったかも知れない者同士が、偶然っていう、なんか不思議なもののせいで出逢って、互いの人生を互いに変え合っていく。そう考えると、縁(えにし)って、なんて神秘的なんだろう、と思う」

同じ会社に勤める小林樹が言った言葉が印象に残っている。

縁って本当に不思議だ。
ただの偶然の重なり合いがあって、縁が生まれる。
そしてその縁に生かされている・・・。
そう思う。

| 柴田よしき | COM(0) | | TB(0) | |
2007-11-13 (Tue)


「小袖日記」  柴田よしき  文藝春秋  11/12読了


源氏物語を題材としたタイムトラベラー的恋愛推理小説。
ひとことで言おうとすると、こんな感じになる。
題名だけ見て時代小説だと思い込んでしまったが、
読み始めてみるとタイムトラベルの話だとわかる。
もちろん源氏物語を題材にしているので恋愛も絡んでくる。

主人公は現代から平安時代に中身だけタイムトラベルをしてしまった女性。
身体は小袖という名で、
源氏物語を書いている香子という宮中に仕える女官の世話係をしている。
そして物語の題材を集める役割もはたす。
つまり源氏物語はふたりの合作という設定である。

「夕顔」「末摘花」「葵」「明石」「若紫」の五章から成っていて、
それぞれが源氏物語の各章の謎解きをしている。
女性は待つだけであった平安時代ではあるが、
それぞれの章に出てくる女性たち皆、人を愛することに真剣である。

私は、
「添い遂げたいと思う方に添うて一生を終えるのが幸せ」
だと感じた明石の君が好きだな。

| 柴田よしき | COM(0) | | TB(0) | |
2007-11-09 (Fri)


「所轄刑事・麻生龍太郎」  柴田よしき  新潮社  11/9読了


同じ推理小説でも猫の正太郎とは全然趣が違う。

推理小説というよりは警察小説かもしれない。
読者が推理する部分は少しもなく、
麻生刑事が解く事件が綴られ、その人物像が浮き彫りになってくる。

この主役である麻生龍太郎は緑子シリーズに登場した探偵であり、
今回はそれ以前の刑事だった頃が描かれている。

柴田よしきの描く人物には、同性愛者の男性が何人かいる。
それが物語の中でどのように作用しているのか・・・。
別に同性愛じゃなくてもかまわないのではないか。
それとも、それが物語に深みを出しているのか。
疑問である。

でも真っ直ぐで、どこかおっとりしたところのある麻生龍太郎という人物、
私は好きです。

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